Japanese
English
誌上シンポジウム 肩こりの病態と治療
僧帽筋血管支配の特徴
Morphometrical Study of the Blood Supply and Drainage of the Human Trapezius Muscle
中村 宅雄
1
,
村上 弦
2
Takuo Nakamura
1
,
Gen Murakami
2
1札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
2札幌医科大学医学部解剖学第二講座
1Department of Physical Therapy, Sapporo Medical University School of Health Science
2Department of Anatomy, Sapporo Medical University School of Medicine
キーワード:
human trapezius
,
僧帽筋
,
vertebral venous plexus
,
椎骨静脈叢
,
Poiseuille's law
,
Poiseuilleの定理
Keyword:
human trapezius
,
僧帽筋
,
vertebral venous plexus
,
椎骨静脈叢
,
Poiseuille's law
,
Poiseuilleの定理
pp.397-401
発行日 2007年5月25日
Published Date 2007/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101036
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ヒトの僧帽筋は肩甲骨を安定させ,肩関節の運動や肩甲骨の運動に関与する重要な筋である.僧帽筋裏面を走行する静脈は,1)動脈に伴走しない静脈が存在し,2)静脈の合流点の数は動脈の分岐点の数の1.5倍に達し,3)さらに静脈弁が欠落している,という特徴がある.また上大静脈へ流れる経路とは別に側副路として外椎骨静脈叢へ流れる経路が存在することも特徴として挙げられる.下大静脈を通る静脈還流は,腹圧や胸腔内圧の影響を受けやすいため,静脈還流が滞った際には椎骨静脈叢が重要な役割を果たすと考えられる.僧帽筋の静脈の特徴的な形態は,椎骨静脈叢の流出路であると同時に側副路であるという体幹の静脈還流上の特殊な位置付けから説明できるものと考える.また,これらの特徴を踏まえたうえで,理学療法において肩こりに関与する僧帽筋への手技の見直しが必要であり,静脈還流を促す方向へのマッサージを行うことによって,肩こりの改善を図ることができるのではないかと考える.
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