論述
股関節手術にみられる大腿神経麻痺について
広畑 和志
1
,
梁 復興
1
,
武部 恭一
1
Kazushi HIROHATA
1
1神戸大学医学部整形外科学教室
pp.910-917
発行日 1978年10月25日
Published Date 1978/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905783
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はじめに
従来の股関節形成術は手術の中でも難しいものの1つで,よく訓練され,高度の技術を身につけた専門医によつてのみ行なわれたためか今日の人工股関節置換術ほど普及しなかつた.また,その頃には適応が限定されていたのかあるいは,技術が優れていたのか股関節外科における大腿神経麻痺の合併症に関する論文がみあたらない.最近,人工股関節置換術が盛んとなり,ここ数年の間に大腿神経麻痺の合併症が散見されるようになつた.この神経麻痺も他の麻痺と同じく医原性因子が絡むので,股関節外科を専攻する人は,その発生原因,症状や予後などについて認識しておかねばならない.
著者らは主として脱臼性股関節症に対するカップ関節形成術と全置換術後に発生した大腿神経麻痺の臨床経過を追跡した.その経験から特に麻痺の予防と治療について述べることにする.
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