論述
股関節症の治療法の反省と考察—走査電顕像からみて
広畑 和志
1
,
石川 斉
1
Kazushi HIROHATA
1
1神戸大学整形外科
pp.424-436
発行日 1970年6月25日
Published Date 1970/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904409
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はじめに
すでに電子顕微鏡による形態学的な細胞構造の所見は,われわれの整形外科領域においても漸次,診断や治療に貢献している.軟骨の電子顕微鏡の観察といえば,組織を固定し,一旦超薄切片を作製して,個々の細胞やmatrixなどを対象としたり,あるいはアイソトープや酵素学的操作を加えて,その細胞の機能を推定するのが普通である.これらの方法で試料の表面を観察することは,極めて困難である.そこでレプリカ法が行なわれ,細菌の表面,あるいは金属の表面などが観察される様になつた.われわれの領域でも2〜3の人により関節の表面が観察されている.しかし,この方法でも走査電子顕微鏡に比べると技術上多くの困難な問題があり,かつ,広範囲な自由表面が観察されない欠点がある.走査電子顕微鏡的研究では,すでにリウマチにおける滑膜や軟骨に関しての井上らの報告がある.
われわれは最近,股関節症に対して,種々の手術療法を行なつているが,それらの手術をしたうちとくに,2例の症例の骨頭の軟骨の自由表面を,走査電子顕微鏡で観察した.この所見を参考にして軟骨の変化と股関節症の手術法について少し検討を加えてみたい.
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