Derm.2021
コロナ禍に思うこと—国際学会や海外留学について
中村 元樹
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科学
pp.35
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206326
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新型コロナウイルス感染症は我々の生活に大きな変化をもたらしたが,私が専門とする皮膚癌については,普段どおりの治療を提供することこそ大学病院の責務であるとの思いのもと,なんとか手術件数を減らすことなくここまで来ている.しかし避けられない変化の1つに,学会,講演会のweb化がある.家や病院に居ながらに著名な先生の講演を聞くことができるのはとても便利ではあるが,現地に赴けず,他大学の先生たちとの交流がないのは寂しい限りである.国際学会に至っては,今後数年は現地での学会参加は絶望的であろう.私が今取り組んでいるMerkel細胞癌の研究は,世界的にも専門家が少ないこともあり,学会での出会いの機会は貴重であった.交流だけでなく,異国の地ならではの文化,食べ物,ショッピングなどは,日々の大きなモチベーションになっていたのだが,それらはすべてコロナに取り上げられてしまった.出張ですら難しいのに,いわんや海外留学をや.ありがたいことに私自身は,数年前にドイツへの留学を経験させていただいた.2年間の異国の地での生活は大変刺激的であり,忙しい臨床,せわしない日常から離れ,研究に没頭すると同時にじっくりと人生を考えることのできた素晴らしい経験だったのだが,それらを私が指導している若い先生たちにも味わってもらえるようになるには,一体どれくらい待てばよいのだろう.一日も早い収束を願うばかりである.
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