カラーシリーズ 人工関節の手術・7
京大式ソケット・カップ人工股関節
田中 清介
1
1京都大学整形外科
pp.732-735
発行日 1977年8月25日
Published Date 1977/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905565
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京大式人工股関節の特徴は,大腿骨側が髄内軸をもつ人工骨頭ではなくカップ関節形成術に用いるような金属力ップである点である.Charnley型で代表される髄内軸人工骨頭をもつ人工股関節では,人工骨頭挿入時あるいは術後の大腿骨骨折,髄内軸破損,人工骨頭のゆるみ,人工骨頭固定のため大量の骨セメントを使用することによる種々の合併症,再手術の困難,人工関節摘出を余儀なくされた時の骨欠損からくる著しい股関節機能障害などの問題があり,特に後二者のため60歳以下の症例には人工股関節置換術は必ずしも適応とはいえなかった.これらの問題に解答を与えたのが京大式人工股関節である.また,京大式全置換術は,寛骨臼のremodellingの難しいカップ関節形成術に比し,骨セメントを用いることにより問題はなくなり,またHDPのソケットと不銹鋼のカップの組合せにより股関節の動きは円滑となった.
手術法はカップ関節形成術のそれに準じて行われる.寛骨臼および骨頭のreamingにはAufrancやHarrisのreamerをそのまま使うことができる.ソケットの臼への囲定をよくするために骨セメントを使用するが,カップと骨頭の間には,重合熱によるretinaculumの血管を損傷するおそれがあるので,骨セメントを使用しない.
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