シンポジウム 変形性股関節症の手術療法
変形性股関節症に対するカップ関節形成術
田中 清介
1
,
伊藤 鉄夫
1
,
山本 潔
1
,
長井 淳
1
,
大西 紀夫
1
Seisuke TANAKA
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.579-590
発行日 1974年7月25日
Published Date 1974/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905018
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1938年6月最初のバイタリウムカップによる股関節形成術がSmith-Petersen36)によつて行なわれて以来既に30有余年がすぎた.その間,Aufranc2〜4)やHarris15〜16)らの種々の改良により,今日では優れた成績がえられるようになつた.しかし,わが国ではカップ関節形成術は広く行なわれるに至つていない.バイタリウムカップ使用の報告は少なく28,44,47),むしろレジンカップやNAS84S鋼カップを使用した報告が多い1,17,27,35,53).しかし,これらのカップの強度は低く,カップが破損したために再手術が行なわれた例もある.また,カップ関節形成術の失敗例に関節全置換術を行なつた報告を多くみることからも,カップ関節形成術の正しい導入が非常にむづかしいことを痛感している.
重症変形性股関節症に対する手術には,骨切り術,カップ関節形成術,筋解離術,関節固定術,骨頭切除術(Girdlestone, Milch)等があるが,近年関節全置換術が行なわれるようになつてからは,その成績の優秀さと,術後の機能訓練がほとんどいらないために,上記のような多くの有効な手術が次第に放棄されているのではないかと思われる.しかし,重症例でも若年者に対してはカップ関節形成術は依然として有効な手術である.
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