臨床経験
多発性腱黄色腫症の2例—2例の報告と黄色腫のまとめ
荻野 幹夫
1
,
古谷 誠
1
,
浅井 春雄
1
,
蜂須賀 彬夫
1
,
小坂 正
1
,
村瀬 孝雄
1
,
笹 哲彰
1
,
進藤 登
2
,
井上 肇
3
,
三上 隆三
3
,
楊 鴻生
3
Mikio OGINO
1
1国立病院医療センター整形外科
2国立病院医療センター臨床研究部
3聖路加国際病院整形外科
pp.891-896
発行日 1977年9月25日
Published Date 1977/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905591
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要約
2例の高脂血症性xanthomaの報告と,整形外科的立場よりxanthomaのまとめを試みた.
〔付〕Xanthomaの主病変であるlipid laden histiocyte出現の要因を大別して,histiocyte外の環境要因とhistiocyteの細胞内要因の2つに分け,いずれが強いかを仮定して,種々の場合のxanthomaの発生を説明することができる.これら要因の具体的な諸性質については未明の所が多いが,一般的にxanthomaの発生を説明するには便利である.
a)細胞外要因と細胞内要因の想定.
細胞外要因の想定の根拠は,高脂血症をきたす種々の状態で,一様にxanthomaが発生することと,xanthomaには好発部位のあることによる.Lipid laden histiocyte内の脂質は,高脂血症の分類のいずれでも,ほとんど遊離型コレステロールの形で,細胞内に蓄積される.この意味において,細胞外要因は,細胞内の代謝過程に量的に影響を及ぼすが,質的な影響は少ない.また高脂血症があつても,xanthomaは,外傷を受けることの多い,循環状態の悪い部(アキレス腱,膝蓋腱,手指の伸筋腱,肘関節伸側部等)に好発することは,細胞外要因中に,外傷や循環の悪いことが含まれることを示唆する28).
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