臨床経験
脊髄損傷における痛み
大井 淑雄
1
,
鶴見 信之
1
Yoshio OOI
1
,
Nobuyuki TSURUMI
1
1自治医科大学整形外科・リハビリテーションセンター
pp.591-597
発行日 1977年6月25日
Published Date 1977/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905541
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はじめに
脊髄損傷は外傷性にも非外傷性にも起こり得るがその臨床像はおかされた脊髄レベル以下の麻痺である.かつては生存率もきわめて低く尿路感染や褥創などの合併症で死亡することが多かつた.しかし今日のリハビリテーション医学の研究と診療における進歩は脊髄損傷患者の余命を延長し社会の受け入れ態勢も彼らに職業復帰の機会を与えるようになつた.急性期そして症状固定期を通して彼らのリハビリテーションプログラムを推進することの妨げになる問題の1つに痙性と疼痛がある.ことに疼痛は患者に大きな苦痛を与え,毎日の機能訓練の意欲を減退させるが患者のみならず医師も常に疼痛をコントロールするために悩まなくてはならない.この疼痛は本来ならば知覚脱失が起こつているはずの領域へも起こるものであり多くの研究者の努力にもかかわらずその発現機序は十分解明されていない.
われわれは今回諸病院の協力を得てその実態を調査した.その結果を若干の討論とともに報告したい.
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