特集 胸椎部ミエロパチー
胸椎後縦靱帯骨化症に対する前方除圧術の試み
大谷 清
1
,
満足 駿一
1
,
柴崎 啓一
1
,
野町 昭三郎
1
Kiyoshi OHTANI
1
1国立療養所村山病院整形外科
pp.353-359
発行日 1977年4月25日
Published Date 1977/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905512
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はじめに
近年,後縦靱帯骨化症は整形外科,脳神経外科,神経内科領域でにわかに注目され,広く認識されてきた.その結果,本症患者は少なくないことがわかつてきた.しかし,本症の病因は今のところ全く未知であること,しばしば重篤な四肢麻痺を合併してくること,したがつて画一的な治療法が確立されていないことなど,多くの問題が残されている.ともあれ,本症にたいしては今後ますます研究が進められていかれなければならない疾患の1つである.
後縦靱帯骨化症は頸椎に頻発することは周知のとおりであるが,胸椎,腰椎にもみられ,あるいは合併する.中でも胸椎の後縦靱帯骨化症は解剖学的,生理学的理由から,前方除圧術の手術的処置が困難である.胸椎後縦靱帯骨化症に対する諸家の椎弓切除術の報告をみても,その成績は芳しくない.われわれは圧迫が原因でおこる脊髄麻癖に対しては,いかなる部位であれ,圧迫原因をとり除くべきであることを主張してきた.胸椎後縦靱帯骨化症による脊髄麻痺に対しても,前方除圧を優先すべきである.現在までに重度の脊髄麻痺をともなつた胸椎後縦靱帯骨化症の3例に対して前方除圧を試みた.
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