特集 腰部脊柱管狭窄の諸問題
腰部脊椎管狭窄症手術症例185例の検討
川井 和夫
1
,
片岡 治
1
,
栗原 章
1
,
松田 俊雄
1
,
土居 忠史
1
,
竹内 一喜
1
,
田中 寿一
1
,
𠮷岡 裕樹
1
Kazuo KAWAI
1
1神戸大学医学部整形外科学教室
pp.761-767
発行日 1976年8月25日
Published Date 1976/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905391
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
腰痛,下肢痛を来す疾患のなかに椎弓と黄靱帯の著しい肥厚を示す症例があり,これらは椎弓切除術により治癒されたという報告は,すでに1900年代の始めより散見される.1950年代以後その病態解明が急速に進むにつれて椎弓や黄靱帯の肥厚のみならず,骨性脊椎管自体の発育上の狭小,lateral recess,椎間板,関節突起,椎体後方骨棘などの問題が注目されてきて,clinical entityとしての腰部脊椎管狭窄症の概念がほぼ確立した.現在ではその治療法として,馬尾神経や神経根を圧迫するこれらすべての要因を切除する広範囲椎弓切除術が,広く一般的に受れ入れられ,その術後成績も向上している.
われわれの腰部脊椎管狭窄症の手術症例は185例の多きを数える.この論文の目的は,この豊富な症例の臨床的所見の概略を述べ,その術後成績と,その成績を左右する因子を検討することにより,手術法としての広範囲椎弓切除術の妥当性を論ずること,および,さらには,これらの結果よりclinical entityとしての腰部脊椎管狭窄症の概念の重要性につき言及することにある.
![](/cover/first?img=mf.1408905391.png)
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.