臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
IX.代謝・栄養障害
糖尿病治療のポイント
185.妊娠・出産・分娩の指導
井出 幸子
1
,
池田 義雄
1
Yukiko Ide
1
,
Yoshio Ikeda
1
1東京慈恵会医科大学・第3内科
pp.2504-2505
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218726
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糖尿病婦人における妊娠・出産・分娩には種々の問題のあることが知られている.母体側では,①妊娠そのものが胎盤由来のホルモンや末梢組織のインスリン抵抗性の増大,そして脂質代謝の亢進などにより催糖尿病的に働くこと,②妊娠を契機に糖尿病性細小血管障害の進展増悪がみられるなどがあげられる.一方,胎児にまつわるトラブルとしては,①羊水過多,②胎盤機能不全,③子宮内・周産期死亡,④奇形,⑤巨大児,⑥新生児低血糖症などが報告されている.このため,糖尿病婦人の妊娠を成功に導くための方法としてJovanovic1)は,高血糖に代表される糖代謝異常の是正,すなわち血糖正常化の重要性を強調している.
現在,血糖が変動しやすい糖尿病妊婦の血糖を正常化する手段として血糖の自己測定(self-measurement of blood glucose:SMBG)と,その血糖変動を正常範囲にコントロールするためのインスリンの分割混注が高く評価されている.
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