巻頭言
ある回顧
高崎 浩
1
1三重県立大学医学部内科
pp.191
発行日 1971年3月15日
Published Date 1971/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202240
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昭和13年版の呉健教授著の「心臓病診断及治療学」をひもといてみると,心臓病の診断法としては,既往症,視診,触診,打診,レントゲン放射線検査,聴診,脈拍の検査,血圧測定,心臓分時送血量(当時からFickの方法が用いられているが,最も困難視されたのは静脈血中の酸素殊に右室内の血液の測定であって,それにはFlesch氏法が用いられていたらしいが,今日の静脈カテーテル法による採血を考えれば感無量のものがある),循環血量の測定(Keith, Geraghty und Bowntee氏により発案され,Seyderhelm und Lampa氏らにより改良された方法が当時の方法である),動脈波採取(当時においてはジャケー氏脈波計が簡単であり最もよく用いられている),静脈波採取(当時はTrichtermethode漏斗方法とOhm'sche Apparat反射鏡法とが用いられていたが,同時に弦線電流計を用いてフィルム撮影で描写するDirect Venenpulszeichnung nach Parkisonと呉,酒井式静脈波計が使われている),左前房波(Min—koweki, Rautenbergによる食道内にゴム管を挿入して採取する方法が一般に用いられていたが,真下教授らは当時すでにコンデンサー,マイクロフォンを用いて食道内より採取する方法を実用化している),心窩拍動採取(福井氏による頸静脈波採取と同一の方法を用いて),
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