論述
新生児股関節検診におけるいわゆる見逃し例について
井村 慎一
1
,
森田 聖一
1
Shinichi IMURA
1
,
Seiichi MORITA
1
1金沢大学医学部整形外科学教室
pp.486-492
発行日 1975年6月25日
Published Date 1975/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905193
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はじめに
Click testによる新生児股関節検診は先天股脱の治療に一つの大きな転機を与えた.外国ではvon Rosen,Barlowなど,本邦においては今田,森田,山室,山田,平川,田辺,その他多くの人達により先天股脱のスクリーニングがなされてきた.
見逃し例については,山室,山田らによればごく稀であると報告し,その優秀性を強調しているが,一方森田(1964,1965)らは初診時臼蓋形成不全を認めた症例のうち生後1〜3ヵ月にその約1/4の症例に脱臼を発見したと報告,田辺(1973)は新生児・乳児検診にて股脱,股亜脱と診断された73例のうちclick陽性およびBarlow test陽性例は13例で,残りの60例はclick signまたはBarlow test陰性の症例であつたとのべ,click testによる先天股脱のスクリーニングに否定的な見解をのべている.
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