論述
人工膝関節置換術後の屈曲不充分症例の検討
鳥巣 岳彦
1
,
野村 茂治
1
,
北島 俊裕
1
,
中村 謙介
1
Takehiko TORISU
1
1九州労災病院整形外科
pp.479-485
発行日 1975年6月25日
Published Date 1975/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905192
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膝関節に金属を用いた関節形成術が行なわれるようになつたのは1940年の初めころからであり(Campbell,1940),これは股関節におけるSmith-Pctersenのカップ形成術の報告が刺激となつたことは疑いがないようである.膝関節においては,人工の関節を固定するためには長い軸が必要で,そのためには樹脂では脆く,また安定性を良くするためにはhingeが必要であり,したがつて金属対金属の組合せによる軸付き人工関節が次々に開発されていつたのである.
その後骨セメントによる固定法が,人工膝関節が軸なし関節へと大きく転換する糸口を与えてくれた.同時に盛んに行なわれた高分子ポリエチレンの開発,医用工学の発達によつて,膝の人工関節に正常に似た動きを持たせようとする努力がなされ,金属対樹脂の組合せによる人工関節が広く用いられるようになつた.他方,脛骨板形成術やfemoral mould replacementの成功が,脛骨側と大腿骨側とが別々に分離したhingeのない人工関節の出現に大いに刺激になつたことは確かである.骨セメントの使用によつて最近の人工膝関節はますます小型化しつつあるが,これらの人工関節は関節破壊の程度,変形の状態によつて使い分けが必要であると思われる.
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