臨床経験
指伸展筋の先天性発育不全症について
津下 健哉
1
,
三好 勝海
1
,
松石 頼明
1
,
河村 圭了
1
Kenya TSUGE
1
1広島大学医学部整形外科学教室
pp.493-497
発行日 1975年6月25日
Published Date 1975/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905194
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先天性のclasped thumbとかarthrogryposis multiplex congenitaに合併して短母指伸筋また,時に長母指伸筋が欠損することはよく知られている.しかし特有な軟部紐織の屈曲拘縮を伴うことなく単に指伸筋群が完全欠損して指の伸展が障害される症例は極めて稀で,著者の調査した範囲では1969年著者の報告した2例と井口(1973)による1例報告以外,欧米の文献にもまとまった記載を見ないようである.
さてわれわれの今日までの経験症例は第1表に示したごとくで最初の3症例は両手の総指伸筋,示指固有伸筋,それに長母指伸筋が完全欠損したものであり,あと2例は示指固有伸筋の完全欠損と示指のみの総指伸筋の部分欠損(hypoplasie)を認めたものである.
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