臨床経験
Rheumatoid Kneeに対する手術適応ならびにその問題点
古野 槇一
1
,
近藤 稔
2
,
上山 秀隆
2
,
五十嵐 三都男
3
,
興津 勝彦
3
,
阿部 光俊
4
Shinichi YOSHINO
1
1部立墨東病院リウマチ科
2都立大塚病院リウマチ科
3東京都養育院附属病院整形外科
4帝京大学医学部整形外科学教室
pp.772-777
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905049
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はじめに
進行性,かつ全身性疾患である慢性関節リウマチ(以後RAと略す)で膝関節に炎症がおき,腫脹,疼痛,変形等の症状により,歩行困難,または歩行不可能となる症例は少なくない.これを数字で表わすと,都立大塚病院リウマチ科を訪れたRA患者のうち,膝関節に炎症が認められたのは,全症例中約70%である.そのうち,中等度以上の歩行困難ならびに歩行不可能になつた症例は約20%である.
RAと言う原因のわかつていない疾患の保存的治療には限界があるので,滑膜切除術ならびに関節形成術などの外科的治療の必要性が生じてくる.そしてその手術適応は関節の破壊程度をA. R. A. Anatomical Stage(以後Stageと略す)に分け,これに合つた手術法を選択するのが最善の方法ではないかと考えている.またRA患者に対する手術目的は疼痛除去,ならびにADLの改善である.しかし滑膜切除術の抗リウマチ作用は人によつていろいろと意見の分かれる所である.我々の多関節滑膜切除術の経験ではKalkins評価法で,術後のRAの活動性が低下した症例は少なくないが,血沈等の検査値に対し何ら影響は認められなかつた.
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