論述
人工骨頭径決定の簡便法およびその意義について
滝沢 博
1
,
林 泰史
1
,
五十嵐 三都男
1
,
渡辺 脩助
2
Hiroshi TAKIZAWA
1
1東京都養育院附属病院整形外科
2厚生年金湯河原整形外科病院
pp.738-741
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905044
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はじめに
高齢者の増加に伴ない,大腿骨頸部骨折のうち,いわゆる,内側骨折に対し,人工骨頭置換術を行う機会も増加する傾向にある.また,かつて,他病院で,人工骨頭置換術を受け,その後,手術側の股関節痛を訴えて,整形外科外来を受診する症例も増加しているように思える.我々の外来でも,寛骨臼と挿人された人工骨頭径の大きさの不適合が,股関節痛の原因と思われる症例を2例経験した,そして,我々自身の経験からも,術前に,最も適した人工骨頭直径を決定する事は,意外に困難である事に気付いた.年間に数例の人工骨頭置換術を行う機会しか無かつた時には,人工骨頭を選択する方法として,術前に,股関節のX線フィルムの前後像で,「おおよそ」の骨頭径を想定し,その骨頭径に比較的近い人工骨頭を3〜5個,手術の際に消毒し,術中に,大腿骨頭を剔出し,その直径を測定し,その値に最も近い人工骨頭を,寛骨臼内へ挿入し,大きさの合致するものを用いるという方法でも,特に不便は感じなかつた.しかし,最近のように高齢者が増加し,また,術前,術後の管理方法,麻酔法,リハビリテーション等が進歩し,高齢者に対しても,積極的に,手術治療が行われるようになつてきている現状1)では,人工骨頭置換術を行う症例も当然増加し,当科でも,年間20数例にのぼつている.
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