視座
変形性股関節症
伊藤 鉄夫
1
1京都大学医学部整形外科
pp.681
発行日 1967年7月25日
Published Date 1967/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904257
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変形性股関節症がどのようにして発生し,進展してゆくかということを知るために,150例について調査を行なつた.これは非常な努力を要する仕事であつたが,本症の本体を知る上に大きな収獲があつた.この研究によつて股関節症の原因と進展の様相がかなり明瞭になつてきた.
本症の大部分は,今までに考えられていたように,臼蓋形成不全に基づいて発生するが,乳幼児期に先股脱としての治療を受けていないものが数多くみられた.臼蓋形成不全が永く存在していると高率に関節症が発生する.発症は30歳台から50歳台にかけておこるが,一度発生すると比較的急速に3年ないし5年の経過をもつて進展してゆく.これには骨の老化が深い関係をもつていると思われる.しかし,骨はなお旺盛な回復能力をもつているのであるから,ここに治療への希望が残されている.このたび調査した症例のなかには,自然治癒の経過をとったものがあつた.
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