臨床経験
股関節cup arthroplasty術後の理学療法
田中 清介
1
,
伊藤 鉄夫
1
Seisuke TANAKA
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.790-794
発行日 1969年10月25日
Published Date 1969/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904137
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
股関節疾患に対するvitallium製cupによるarthroplastyはSmith-Petersenが1939年に発表して以来,今日米国では広く行なわれつつある手術である.本邦においてはcupの使用は報告はみられるが,まだ一般化される段階には至つていない.cup arthroplastyの手術成績を左右するものは,他の手術におけると同様,①正しい手術適応,②習熱した手術手技,③適切な後療法であつて,そのうちどれ一つが不適当であつても予後は不良に終る.後療法についてはcup arthroplastyが広く行なわれている米国においても,病院により,医師によりまちまちであり一定していない.
京都大学整形外科では,昭和41年10月以来cup arthroplastyを主として変形性股関節症に行なつている.後療法は昭和43年1月までの6例には主としてStinchfieldの方法に従つて行なわれたが,成績は必ずしも良くなかつた.昭和43年2月以降はStinchfieldの方法からBoston方式に変更して,良い成績を得るようになつた.Boston方式はAufrancの著書にみられる方法であるが,実際にはBostonにおいてもその著書に記載されている後療法がすべて行なわれている訳ではない.実際に行なえる後療法というものは簡単で行ないやすくなければならず多忙なPTが行ないうる訓練内容というものは繁雑なものでなく,簡単なものでなければ長続きしない.われわれは実際Bostonで行なわれている方法に改良を加えた方法を行なつているので,その概要を記述したいと思う.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.