論述
減圧症と骨関節の変化—4.潜水病性骨病変の経年的変化について—潜水士127名の7年間追跡調査
鳥巣 岳彦
1
,
加茂 洋志
1
,
川島 真人
2
,
林 浩
2
Takehiko TORISU
1
1九州労災病院整形外科
2九州労災病院高圧医療研究部
pp.308-318
発行日 1974年4月25日
Published Date 1974/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904975
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
乱獲やヘドロの影響で近海では就業できなくなり,次第に沖へ出かけ,より深海で就業せねばならなくなつたことや,生活のため一度に少しでも多くの海産物を取ろうと,長時間潜水や無茶な浮上方法を行なわなければならぬ社会的的背景が,日本の潜水士に慢性減圧症である骨壊死を高頻度に発生させている最大の原因であろう.
前回X線所見の分類,骨壊死の発生頻度などについて記載した.さてこれらの骨変化は一度発生すると非可逆的に進行し短時間の内に関節の破壊を起すに至るのであろうか.またこれらの骨変化の進展は潜水を止めれば止まるものなのか.潜水を中止すれば骨壊死は新たに出現することは無いのであろうか.潜水生活を継続するか止めて転業するか思案せねばならぬ段階でおこるこれらの疑問に村しては,症状を有する患者の一回の検診だけでは不十分で,一定の集団を経年的に観察してのみ解答が与えられる.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.