臨床経験
減圧症で入院した潜水士の骨壊死について
川島 真人
1
,
林 晧
1
,
鳥巣 岳彦
1
,
重藤 脩
1
Mahito KAWASHIMA
1
1九州労災病院整形外科高圧医療研究部
pp.933-943
発行日 1973年11月25日
Published Date 1973/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904910
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はじめに
潜水作業や潜凾作業を行なうにあたつて,高圧環境に曝されたものが,常圧(大気圧)にもどる時に,体内で溶解していた窒素ガスが気泡化して様々な症状をひきおこすことを減圧症(潜水病あるいは潜凾病)という.減圧症の中でも,減圧後比較的早期に症状が出現するものを急性減圧症と呼ぶが,この急性減圧症とは別に,潜水士や潜凾工に慢性減圧症と考えられる無腐性骨壊死が発症することは,1911年,Bornstein,1941年,Grutzmacherの報告以来知られていた.
近年,特発性大腿骨頭壊死が注目されているが,潜水士に発症する骨壊死は,大腿骨のみならず他の骨にも高頻度に発生することが特徴であることが,その後の研究により明らかになつてきた.しかも近年海洋開発が本格化してきている現在,職業病の一種として社会的な問題でもあり,その本態の解明と予防法の検索が必要と考えられる.
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