特集 トラベルメディスンのすすめ
ミニレクチャー
潜水病
眞野 喜洋
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院高気圧治療部
pp.516
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100964
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海外旅行において体験ダイビングをする人が増えており,なかにはそのままCカード(潜水講習修了証:俗称ライセンス)を取得して帰国される人も多い.昨年1年間の本学における減圧症(潜水病)患者数は355名で,そのうち77名が海外で罹患または帰国途中の航空機搭乗により発症した人々である.
原因と症状
減圧症は,潜水中に体内に溶解した窒素ガスが速すぎる浮上によって過飽和となり,気泡化して組織圧迫や血管塞栓することが原因で発症する疾患であり,四肢疼痛から中枢神経障害や呼吸循環障害などを引き起こす.浮上時には何ともなくても,浮上から24時間以内に航空機搭乗すると,機内圧力減少によって発症することも多い.ちょうどビールの栓を抜いた時に発泡するように,身体内で窒素ガスが気泡を形成するために罹患し,どこに気泡が形成されたかによって症状は異なるが,その60% 以上は脊髄型とよばれる運動または知覚麻痺で,疼痛の場合には上肢の肩,肘,手関節部が好発部位である.
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