臨床経験
左大腿部に原発した線維黄色肉腫"Fibroxanthosarcoma(Kempson and Kyriakos)"の1剖検例
湯本 東吉
1
,
市原 冏一
2
,
木村 平八
3
,
前山 巌
4
,
山本 吉蔵
4
,
古瀬 清夫
4
Tokichi YUMOTO
1
1鳥取大学医学部第一病理学教室
2鳥取大学医学部第二病理学教室
3烏取大学医学部付属病院検査部
4鳥取大学医学部整形外科学教室
pp.1029-1036
発行日 1973年12月25日
Published Date 1973/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904925
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緒言
組織球と線維芽細胞よりなる腫瘍類似の増殖性病変に対して,StoutおよびLattes10)は線維性組織球腫fibrous histiocytomaと総括した.このような増殖性病変は多くの臓器にみとめられている.また,そのみいだされる部位によつて腫瘤が呈する組織像はそれぞれ異つており,幾つかに分類されている2,8).従つて,その分類や診断には多くの問題があることがKempsonら6)によつて指摘されており,なかでも特に悪性腫瘍の判定には慎重でなければならぬとされている.線維性組織球腫の悪性腫瘍に対しては,従来,悪性線維性組織球腫malignant fibrous histiocytoma10)と呼んでいたが,すでにのべたようにfibrous histiocytomaには種々の亜型がみられることから,この名称は不適当である.KempsonおよびKyriakos6)は花むしろ状線維性間質storiform fibrous stromaと異型性の著しい組織球および巨細胞をともなう30例の軟部腫瘍について,その臨床像と病理組織像を総説し,このような症例は肉腫と診断すべきで,線維黄色肉腫fibroxanthosarcomaと呼ぶことを提唱している.GuccianおよびEnzinger4)は類似した腫瘍に対して軟部組織悪性巨細胞腫瘍とも呼んでいる.
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