論述
義肢適合に対するX線撮影法とその意義
沢村 誠志
1
,
阿部 健三
1
,
高木 繁
1
,
堂前 茂
1
Seishi SAWAMURA
1
1兵庫県リハビリテーションセンター
pp.216-224
発行日 1973年3月25日
Published Date 1973/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904812
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I.はじめに
義肢の適合は,通常次のような検査により判定される.すなわち
a)義肢を装着した場合の疼痛,不快感または,シビレ感等の切断者の主訴.
b)義肢ソケットを除去したときにみられる断端皮膚の状態,特に,発赤,浮腫,断端ソックスによる断端皮膚上の網の目のくいこみ状態.さらに,義肢装着時に断端およびソックスにパウダーを用いて装着後のその残存程度の状態.
c)ソケットの上縁部と断端との適合状態.特に,下腿切断の場合における義足側の立脚中期におけるソケットの外内壁の適合.
d)義足の場合,歩行中におけるソケット内での断端のピストン運動の有無等
以上の点が適合判定の参考基準となる.ところが,実際の適合判定に際しては,装着感が不良である場合には,それが義肢の不適合によるものか,断端自体に問題があるのか,判定に苦しむことが少なくない.また案外,アラインメントの不良に起因することも少なくない.このように適合判定の困難な場合は,義肢の正しい装着感をまだ得ていない新しい切断者にみられることが多い.このような場合に,ここでのべるX線撮影法によるソケットの適合判定法が補助的診断として有用であることが少なくない.
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