視座
時の流れ—1980年のある日の随想
児玉 俊夫
1
1岡山大学医学部整形外科学教室
pp.9
発行日 1973年1月25日
Published Date 1973/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904786
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☆1960年代の終りより1970年代の始めは日本のみならず世界的の流動期だつた.医学部から発火した大学斗争,医局制度,学会のあり方の批判等は数年を経ずして一応鎮静した.しかし,それが一般国民に与えた影響は大きかつた.1972年になつて,引きつづいての公害裁判で,企業側が惨敗するとは,その数年前に誰が予想したろうか.これは裁判という形のあるものなので,その結末が明白となるのだが,医学教育,卒後研修,学会のあり方,さらに医療制度等についても静かな変化が進んでいたのだつた.
☆テーマをしぼつてのグループの発達により,日本の医学も国際的に認められるようになってきた.1970年頃は,それらのグループも診療とその予後の追跡という臨床的のものであつたが,その中に見出された問題点から発展した研究が実つてきたからである.
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