論述
足部疾患に対するShoe insert
渡辺 英夫
1
,
米満 弘之
1
Hideo WATANABE
1
,
Hiroshi YONEMITSU
1
1熊本大学医学部整形外科学教室
pp.628-634
発行日 1972年8月25日
Published Date 1972/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904721
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はじめに
整形外科領域における足部の慢性柊痛を伴う疾患は,外反扁平足をはじめpainful heel syndrome,中足骨痛,種々の骨折およびその後遺症としての変形など,比較的多く遭遇するが,これらの非観血的治療については種々の困難さを感ずる事も少くない.装具療法を例にとってみても,その矯正能力,装着感,外観,耐久性,など考えてみると満足できるものは多くなかつたといえよう.なかでも足の縦軸弓隆低下を伴う外反扁平足は頻度の高い疾患であるが,これに対して従来より処方されていた足底挿板は,靴敷きにフェルトや革のパッドを張り,単に舟状骨部を持ち上げるものが大部分であった.これは靴を履いている時はある程度の効果があるとしても,靴を脱いだ時は使用できない欠点がある.また靴を履いている場合でも普通の靴ではquarter(側革)部が弱いので,アーチ保持の効果は甚だ疑わしいといえる.いつぽう長いcounter(月形)やThomas heelなどを持つた整形外科的靴にscaphoid padやcookieでarch supportをするのは,もちろん有効であるが,この作成は現在の所どこの病院ででも簡単にはできないし,作れるとしても製作コストも高く一般的ではない.
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