論述
AOI Compression plateの臨床応用—その2.Cross Plateによる股関節固定術について
山田 勝久
1
,
鈴木 一太
1
,
宝積 豊
1
,
永田 覚三
1
,
山野内 忠雄
1
,
林 輝明
1
,
大野 正師
1
,
奥山 繁夫
2
,
土屋 恒篤
2
Katsuhisa YAMADA
1
1横浜南共済病院整形外科
2横浜市立大学医学部整形外科学教室
pp.496-508
発行日 1972年7月25日
Published Date 1972/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904705
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
変形性股関節症に対して数多くの観血的治療法が試みられてきたが,本症の治療の最終目的が,完全な疼痛除去と良好な支持性であるとすれば,固定術こそ,最も確実な治療法であろう.この固定術の最大の欠点は関節の可動性が失われることであるが,このことが直ちに日常生活動作能力の低下につながるものではなく,疼痛がなくなり,支持性か改善されるので,術前より日常生活は容易になることが多い.ただこの固定術は決して易しい手術法とはいえず,この手術法が考案されてから一世紀近くになるにも拘らず一定した方式はいまだ確立されていない.古典的な固定術の合併症としては,骨癒合不全と長期間の外固定に伴う,膝関節の拘縮や血栓症などがあげられ,そのため確実な骨癒合と外固定期間の短縮をめざして多くの人々により,術式の改良が重ねられてきた.
一方骨折に対する圧迫骨接合術の応用は最近特に注目を浴びているが,ただ単に骨片を固定するよりも骨の接触面に適度の圧迫力を加えた方が骨癒合が良好であることは,骨折にさき立ちKey(1932)にょり膝関節固定術の経験より述べられている.またこれらの事柄は組織学的にも,Krompecher(1935),Danis(1947),Schenk(1964)らにより裏付けられている.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.