論述
膝のSpontaneous osteonecrosisに対する高位脛骨骨切り術の試み
腰野 富久
1
,
木下 典治
1
Tomihisa KOSHINO
1
,
Tenji KINOSHITA
1
1横浜市立大学医学部整形外科
pp.509-518
発行日 1972年7月25日
Published Date 1972/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904706
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
膝のspontaneous osteonecrosisはAhlbäckら(1968)1)2)Bauer(1970)5)BohneおよびMuheim(1970)14)らにより報告されて以来,次第に注目されてきたが,中高年者の膝疾患の中では比較的稀なものである.本疾患の特徴は,臨床的に膝内側部の激しい疼痛,レ線学的に離断性骨軟骨炎に類似したレ線像,strontiumによるscintigramでは病変部に異常に高い取り込みを呈すること,である1)2)5)6)14).とくにレ線像で大腿骨内顆の関節面に骨吸収像を認めるが(第1図),その部位が荷重面であること,罹患年齢が60歳前後に多いこと,などが離断性骨軟骨炎と異なる所見である1).また本疾患は,放置された場合に膝の内反変形が現われて,次第に悪化し高度の変形性膝関節症に移行するが14),このようなことは本疾患の治療に際し,重要な問題点となつてきている.われわれは本疾患と思われる23例を経験し,膝の内反変形をきたしたもののうち6例に,高位脛骨骨切り術を行ない良好な経過を得たので,その治療経験の概要を報告する.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.