視座
関節リウマチと骨コラーゲン
池田 亀夫
1
1慶応義塾大学整形外科
pp.495
発行日 1972年7月25日
Published Date 1972/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904704
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関節リウマチはいわゆる膠原病の範疇に入る全身結合織疾患で,その病変は関節のみならず,骨,筋肉,腱,血管などを侵す.結合織はコラーゲン,ムコ多糖,糖蛋白,エラスチン,レチクリンなどから構成される.関節リウマチにおいてこれらの構成要素がどのように障害され,変化するのかはリウマチの病態を知る上できわめて重要であるにも拘らず,未だ明確にされておらず,とくに人骨コラーゲンの生化学的研究はほとんどなされていない.
骨は形成と吸収を繰り返し,その両者の平衡が負に傾いたときに骨萎縮ひいては骨破壊をおこす.関節リウマチにおける骨萎縮も同様の過程から生ずると考えられる.普通,骨萎縮は罹患関節周囲に初発するが,進行すると全身的におこる.教室管野らの研究によれば,この骨萎縮は単位体積あたりの骨質の減少であり,有機質,無機質の比率は正常の骨と変らず,いわゆる骨粗鬆症である.この骨萎縮はレ線像上老人性骨萎縮に類似するが,生化学的にみて同質であるのか,あるいは異質であるのか,問題である.
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