論述
股関節固定術と形成術
河野 左宙
1,2
Sachu KONO
1,2
1聖隷浜松病院
2新潟大学
pp.467-470
発行日 1971年6月25日
Published Date 1971/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904554
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I.股関節固定術の歴史的展望
わが国で股関節外科を最初に開拓されたのは故神中正一教授であつたが,昭和10年第36回日本外科学会総会の宿題報告「股関節外科」の中で,すでに股関節結核に対する病巣掻爬と関節固定術混合法の経験,および陳旧例に対する関節外固定術の経験について述べておられる.また変形性股関節症に対しては,関節形成術の経験とともにAlbee,Calvéらによる関節固定術の業績を紹介しておられる.
この報告の中で神中教授は,股関節の運動障害は健存する腰椎の運動によつて代償されることを強調され,重度股関節症に対して施行される関節固定術は,この代償機構によつて,日常動作を不便のないものにしていると述べられたことは,きわめて意義深いものがあつたと考える.
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