診療の経験から
関節形成術を成功させるために
河野 左宙
1
1新潟大学医学部整形外科
pp.371-379
発行日 1966年7月25日
Published Date 1966/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903773
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はじめに
関節形成術の起こりは,生命の保持のための顎関節強直に対する授動手術にはじまつたが,四肢関節の機能の再建のために行なわれる近代関節形成術はMurphy,Payr,Putti,Campbell,MacAusland,Baer,Thompsonら,そしてわが国では住田,神中らの業績に負うところが多く,これら先人によつて関節形成術はその基本となる手術適応,手術手技,後療法の原則が確立されたといえる.
一方Judetらによつて開発された人工骨頭法は,股関節機能再建の画期的手術法として期待されたが,その手術成績の検討から,いまでは限られた大腿骨近位端の腫瘍や大腿骨頸部内側骨折非癒合例,両側股関節強直の特殊例などに対する治療法の一法として応用されているに過ぎない.変形性股関節症に本手術法を応用することについては,諸家の臨床経験の結果から,最近は一歩後退したとみられている.
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