論述
股関節形成術の今昔
片山 良亮
1,2
Ryosuke KATAYAMA
1,2
1東京慈恵会医科大学
2東急病院
pp.460-466
発行日 1971年6月25日
Published Date 1971/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904553
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股関節形成術の発達史をみると種々な過程を経て今日の人工関節にまで至つたわけであるが,一応,到達するところまで到達したかのような感があるから,この辺で歴史をふりかえつてみるのも無駄なことではあるまいと思い,この一文を草したわけである.
今日の手術は御承知の通り1888年Listerが無菌的手術を提唱して以来,発達したものであるが,それより前1826年にBartonが過去の経験から長管骨に無痛性偽関節の起こり得ることを考え,この偽関節を転子下で人工的に作るならば,強直している股関節も,運動性を得るのではあるまいかと推定したところ,たまたま股関節が骨性強直に陥つている1人の水夫が来院したので,転子下で骨切り術を行なつた.当時のことであるから化膿を起こしたが,手術後3ヵ月でようやく杖歩行ができるようになり,かつ幸いにも骨切り部で無痛性の偽関節を形成した結果,同部で股関節の運動性を獲得したという.
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