論述
先天性内反足に対する外側発育抑制自家矯正手術の遠隔成績
日下部 明
1
,
村上 克彦
1
,
酒井 克宣
1
,
魚住 潔
1
,
飯野 三郎
1
Akira KUSAKABE
1
1東北大学医学部整形外科学教室
pp.588-597
発行日 1970年8月25日
Published Date 1970/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904436
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はじめに
先天性内反足は先天性股関節脱臼とともに整形外科でとり扱う先天性疾患の双壁と見られていたが,近年先天股脱がしだいに予防的措置あるいは早期の合理的な治療方法の開拓によつて昔のような重篤な変形の固定化を見なくなつているのに反し,内反足は普通の先天性二次性内反足といわれているものでも,その解剖学的完癒はもちろん,機能的にも不良な例が意想外に多いように思われる.本来,先天性内反足は早期の保存的治療によることが原則とされ,出産直後のいわゆる即時治療Sofortbehandlung,その後はおそくとも生後3ヵ月以内に始められるべき早期治療Frühbehandlungを熱心に行なうことが近代古典ともいうべき先天性内反足の金科玉条的対策として現在も通用し,その方式自体も原則的にそう変つていない.こうした方法を専門医師の,あるいは卓越した術者の手で行なつても,なお時に著しいirreversibleの変形をきたし,あるいは特殊の異常要素を残存するのは,先天性内反足そのものの中に潜在するgen異常か,発育要因に関連する宿命的変形醸成factorを内包しているためと感ぜざるをえない.
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