論述
変形性股関節症の手術的療法
藤本 憲司
1
,
寺山 和雄
1
,
田口 靖夫
1
Kenji FUJIMOTO
1
1信州大学医学部整形外科学教室
pp.1085-1095
発行日 1967年11月25日
Published Date 1967/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904319
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まえがき
著者の一人,藤本は第17回日本医学会総会において,変形性関節症に関するシンポジウムの司会を担当する機会を与えられた.この機会に現在わが国において一般に行なわれている変形性股関節症に対する手術的療法の治療成績を検討し,その適応を明らかにすることが必要と考えた.そこで,本症の成因と病理学的研究のほかに,Voss手術あるいはそれをmodifyした筋切離術を伊丹教授に,骨切り術を上野助教授に,骨頭切除—転子下骨切り術を小谷教授に,関節固定術を河野教授にそれぞれお願いして,その治療成績を発表していただいた.時間の関係で,displacement osteotomyを主としてやつておられる島(啓)教授,臼蓋形成術と筋切離術の併用を行なつておられる伊藤(鉄)教授,その他の方々に発表をお願いできなかつたのは残念であつた.このシンポジウムにおいて,天児教授は「提示された症例のX線像をよくみると,どういう患者には,どのような手術をすればよいかということが大体わかつたような気がする」と発言された.著者らも股関節症に対する手術的療法の適応についての一応のめやすが得られたと考えている.
本稿では,シンポジウムの報告内容を参考とし,信州大学整形外科で治療を行なつた症例の中間成績について検討し,各種の手術的療法の適応についてのわれわれの見解ならびに今後の問題点について論及する.
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