臨床実習サブノート 歩行のみかた・3
変形性股関節症
永冨 孝幸
1
Takayuki Nagatomi
1
1JCHO大阪病院リハビリテーション室
pp.543-551
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200903
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はじめに
変形性股関節症は関節軟骨の変性・摩耗により関節の破壊が生じ,反応性の骨増殖(骨化・骨棘など)を特徴とする疾患で,原疾患が明らかでない一次性股関節症と何らかの基礎疾患に続発して起こる二次性股関節症の2つに分類されます.本邦では先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全を基礎疾患とする二次性股関節症が全体の約80%を占めていると報告されています1).
変形性股関節症患者の多くは長期罹患を強いられており,疼痛や歩行困難などを主訴に病院を受診します.理学療法にて変形した骨形態の改善を図ることは困難ですが,除痛,移動能力改善・歩行能力改善を目標とした理学療法が実施されます.また,保存療法に抵抗する場合には人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)を中心とした手術療法が選択され,術後に理学療法を実施していきます.
いずれにおいても変形性股関節症患者は長期罹患のため代償的な歩行動作を学習していることが多く,患者の本質的な問題点を評価・把握し,理学療法を展開していくためには歩行分析が重要です.本稿では変形性股関節症患者(保存・手術)の歩行分析とその後の評価のポイントについて述べます.
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