診療の経験から
先天性股関節脱臼の機能的療法
藤本 憲司
1
,
寺山 和雄
1
1信州大学医学部整形外科教室
pp.319-326
発行日 1967年3月25日
Published Date 1967/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904210
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まえがき
乳幼児先天股脱に対する機能的療法とは,関節構成体に損傷を加えることなく整復し,生理的運動をできるだけ許容しながら整復位を保持することによつて治癒に導くという,いわばatraumaticな治療法をいう.機能的療法の条件を満足する方法としては,1.PavlikのRiemenbügel(R-b),2.その変法であるBartaのkombinierte funktionelle Behandlung,3.Overhead Extension(OE)などが挙げられる.信州大学整形外科では,1961年からR-bとOEを中心として,乳幼児の先天股脱の治療体系を一新した.患児の月令および脱臼の程度によつて,第1表のように,R-bおよびOEの適応をきめ,231例の先天股脱を治療した.1965年10月までに,治療開始後3年以上を経過した118例中74例(63%)については,その治療成績を詳細に調査したので,その経験から先天股脱の機能的療法に関する問題点について検討する.
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