臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・2
変形性股関節症
神戸 晃男
1
,
山本 美紗子
1
Akio Kobe
1
1金沢医科大学病院心身機能回復技術部門リハビリテーションチーム
pp.435-441
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101960
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ステップ1.理学療法士の役割,理学療法士としての心構え,目標
変形性股関節症(以下,股OA)の患者の特徴に,①股関節痛,②股関節可動域(以下,股ROM)制限,③股関節周囲の筋力低下,④下肢脚長差,⑤跛行が挙げられる.また長年の股関節痛や下肢アライメントの不良から,全身のアライメント異常(骨盤前傾等)や筋力の低下を引き起こしていることが多い.
したがって,股OA患者の理学療法では,股関節以外の体幹・骨盤・膝・足部の筋力低下や疼痛,ROM制限も改善して日常生活活動(ADL)の向上を図り,全身のアライメントの修正,習慣化された基本動作や歩行の代償性運動パターンの改善も考慮して理学療法を進めることが大切である.さらに股OA末期患者では,全人工股関節置換術(THA)が適応となり,耐用年月の向上や脱臼に留意し,生活指導も重要である.THA患者では股関節周囲の疼痛が改善すると屋外活動も広範囲となる.患者満足度や生活の質(QOL)を向上させることが最終目標である.
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