臨床経験
多発性結節性黄色腫の2例
新野 徳
1
,
豊島 義彦
1
Noboru SHINNO
1
1徳島大学医学部整形外科学教室
pp.1037-1041
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904309
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
黄色腫は1835年Rayerにより初めて眼瞼黄色斑として報告され,1896年SmithによつてXanthomaと呼称されている.黄色腫は肝臓その他の新陳代謝障害から血液中にコレステリンが増加し,結合組織細胞,血管内皮細胞,血管外膜細胞などがこれを摂取して黄色腫細胞を生じ,これが黄色腫を形成すると考えられている.本症は皮膚ことに眼瞼に生ずるものが多く,扁平なものと腫瘤状のものがあり,しばしば両者の併発をみることがある.皮膚に生じた黄色腫についてはかなりの報告をみるが,腱,腱鞘,骨に生じた症例は少なく,本邦では18例にすぎない.この中,アキレス腱に発生したものはこの第1例を含めて12例しか報告されておらず,全体の黄色腫発生例数に比してその割合は非常に少ない.
われわれは,眼瞼,両側手指伸筋腱,両側肘頭部,両膝蓋靱帯ならびに両側アキレス腱に発生した1例と,両側手指背側,両側肘頭部,両側膝蓋靱帯ならびに両側趾背側に発生した1例を経験したので報告する.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.