シンポジウム 骨肉腫の治療および予後
発言2
藤本 憲司
1
Kenji Fujimoto
1
1信大医学部整形外科
pp.553
発行日 1967年5月25日
Published Date 1967/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904241
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局所灌流療法は,理諭的には非常に魅力ある方法ですので,われわれの教室でも以前からいろいろ研究しております.すなわち四肢の灌流に適した小型の灌流装置の開発,漏出を最少限にするための分割止血法の考案,腫瘍を移植した動物での種々の実験などを行なつて,本療法の手技の改善に努めております.しかしながら臨床例につきましては,どうもはつきりとした効果が現われないうらみがあります.さきほど阿部先生も最近はあまり成績がよくないといわれましたが,さきに演説されたお二人もいつておられましたように,局所灌流や動注をやると腫瘍細胞は,大部分Nekroseを起すが,なおかなりの腫瘍細胞が残つている.しかもこの残つた腫瘍細胞が増殖します.こういうようなわけで,非常に魅力的な方法ですが,まだまだ不完全であります.
われわれの教室でも最近動注療法も始めております.これは持続的に注入できるという点がすてがたいものと思います.しかし両者とも,さきに発表されたお二人の話をききましても,転移を防ぐ力が弱いということでどうもすつきりしない.これにはいろいろ免疫学的な問題も考慮に入つてきますが,まだその点は十分解明されていません.
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