診療の経験から
脊椎分離症における分離椎弓摘出非固定術について
伊藤 忠厚
1
Tadaatsu ITO
1
1日本医科大学整形外科学教室
pp.985-992
発行日 1968年11月25日
Published Date 1968/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904005
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はじめに
脊椎分離症,辷り症は,はじめ婦人科医によつて記載された疾患であるが,1920年以降整形外科医の注目するところとなり,今日に至るまで,多数の研究が行なわれ,また種々の治療も行なわれてきた.
これらの治療法の中で,保存的療法は,さておき,観血的療法としては,脊椎固定術が古くから行なわれ,Fitch(1912)によるAlbeeの固定法をはじめ,Hibbs法,Henle法,Calve-Otterloo法,H-Graft法などの後方固定術が行なわれてきた.また前方固定術は,Capener(1932),Burns(1933),Marcer(1936)に始まり,本邦においても岩原(1961),鈴木(1965)らの人々によつて,後方固定術に優る方法として推奨されてきた.更にまた,分離部のみを固定する方法など,種々の改良を加えられた固定法も行なわれてきたが,いずれにしても,これらの固定法を行なう根拠とするところは,それぞれの主張はあるとしても,大体は椎弓の分離のために惹起される腰椎の不安定により腰神経が刺激されるために,疼痛が惹起されているものを,脊椎を固定することによつて,この刺激を防止しようとするにあると考えられる.
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