シンポジウム 腕神経叢損傷
外傷性腕神経叢麻痺に対する機能再建手術
津山 直一
1
,
原 徹也
2
Naoichi TSUYAMA
1
1東京大学医学部整形外科学教室
2関東労災病院整形外科
pp.675-687
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903959
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交通外傷,労働災害の増加に伴い,近年外傷性腕神経叢麻痺は年々増加の傾向にあり,決して稀な神経損傷ではない.われわれは最近7年間に東大整形外科を訪れた閉鎖性末梢神経損傷681例中26%182例の外傷性腕神経叢損傷を経験し,ポリオに代つて上肢の重度麻痺として機能再建,リハビリテーションに多くの問題をのこしている.なかんずく神経根引き抜き損傷は麻痺回復の経過,また機能的予後の面からみてきわめて不良で,有為の青年を一瞬のうちに一側上肢の機能を失なう重度身体障害者にする重度の損傷であることが多い.
腕神経叢損傷の型をC5,6またはC5,6,7を主とする上位型,C8,Th1またはC7,8,Th1を主とする下位型,両者の合併せる全型とに分けると,全型が109例で過半数をしめ,上位型が67例でこれにつぎ,下位型は13例で少なく,C4以上を主とする高位型は2例で例外的である(第1表).神経学的予後と麻痺型との関係は全型では大多数が極めて悪いが上位型はかなりの例に回復を期待できる(第2表).
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