シンポジウム 腕神経叢損傷
腕神経叢損傷(成因論)
池田 亀夫
1
,
池田 彬
1
Kameo IKEDA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
pp.668-674
発行日 1968年8月25日
Published Date 1968/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903958
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腕神経叢損傷は従来比較的稀な疾患とされていたが,近年,交通事故,労働災害の増加に伴い,症例は漸増の傾向にある.一旦発生すると.上肢の重篤な機能障害を起し,とりわけ若年層の罹患が多く,患者の労働生命に重大な影響を及ぼすので,的確な診断,適切な治療を行なうことが肝要である.本症の診断は必ずしも困難ではないが,副損傷の存在に注意を奪われて看過することがあり,腕神経叢の錯綜した解剖学的特殊性のため,損傷部位,程度,回復の見通し,治療適応などの判定は必ずしも容易でない.
われわれは慶大整形外科171例の臨床的経験と基礎的研究を中核として,腕神経叢の解剖,損傷の病理,損傷部位の診断を追加して本症の成因を論じてみたい.
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