論述
尿中hydroxyprolineと骨疾患
中川 正
1
Masashi NAKAGAWA
1
1名古屋大学医学部整形外科学教室
pp.187-199
発行日 1968年3月25日
Published Date 1968/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903887
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結合織の代謝は他の組織のそれに比し不活溌であり,また骨,軟骨組織は材質的に取り扱い難いなどの理由によつて,その研究の多くは形態学的に追究されてきた.しかるに近年にいたり,X線回折,アイソトープなどの導入によつて結合織の主組成であるcollagenの物理,化学特性が次第に明らかにせられ,創傷治癒や骨,軟骨の石灰化機序などの重要な生理学的機構が次第に解明されつつある.しかしながらcollagenの生体内代謝や骨,軟骨基質の主組成であるムコ多糖体mucopolysaccharides(MPS)の病態生理学的意義についてはほとんど知られていないといえよう.
骨,軟骨基質のうち,無機基質については鉱質代謝が追究されてきたが,有機基質の代謝は適当な検索法がなかつたので,その研究ははばまれていた.collagenの主成分はtropocollagenと呼ばれるタンパクであり,その分子量は33万とされ,左巻きラセン状のポリペプチド鎖が右ネジ方向に3本合さつた高次構造を示す2800Å×15Åの桿状分子構造よりなるものと信ぜられている.このようなcollagenのsubunitの2つはα1と呼ばれ同一アミノ酸組成の鎖よりなり,他の1つはα2と呼ばれそのポリペプチド鎖の一次構造は異なるものとされている(第1図).
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