視座
悪性腫瘍の治療成績の判定
伊藤 鉄夫
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.185
発行日 1968年3月25日
Published Date 1968/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903886
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最近,Collinsらは悪性腫瘍の発育について興味ある研究を行なつた.腫瘍は1個の細胞の突然変異とその分裂増殖によつて発生し,その大きさは発育の期間と速度に比例する.各腫瘍細胞は2,4,8,16個というように常に2倍に増殖し,その速度が一定していると仮定して,腫瘍細胞の数が2倍に増加するに要する時間をdoubling timeと呼んでいる.
これはアイソトープの半減期と同じ考え方に基づいている.この考え方からすれば,直径10μの腫瘍細胞が直径1mmの腫瘤を形成するには20doublingsを要し,臨床的に診断される大きさ,すなわち直径1cmの腫瘤になるには30doublingsが必要である.その後の10doublingsでは腫瘍は1kgにも達するようになる.
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