特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
内分泌学的検査
副腎
尿中17-OHCS,尿中17-KS
板橋 明
1
1埼玉医科大学臨床検査医学
pp.336-337
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101821
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
コルチゾールやコーチゾン,デオキシコルチゾールなどの糖質コルチコイドやその代謝産物であるテトラヒドロ化合物は17位と21位に水酸基,20位にケト基をもっており,このような構造のステロイドホルモン(17-OHCS)はphenylhydrazineと呈色反応(Porter-Silber反応)を示す.このことから,尿中17-OHCSを測定することにより,副腎での糖質コルチコイド産生の状態を観察できることになる.したがって,尿中17-OHCSが増加していれば,Cushing症候群のように,コルチゾールの産生が亢進した病態や,先天性副腎皮質過形成のような,コルチゾールの産生は低下しているが,コルチゾール合成系の中間産物が増加した状態などを疑うことができるし,尿中17-OHCSが低下していれば,Addison病のようにコルチゾール産生の低下した病態を疑うことができる.
副腎で作られ,弱いアンドロゲン作用をもつデヒドロエピアンドロステロンやアンドロステロン,およびその代謝産物では17位の炭素がCO基になっていることから17-ketosteroidと呼ばれ,m-dinitrobenzeneと呈色反応(Zimmermann反応)を示す.尿中17-KSの測定はそのため,男性では副腎性アンドロゲン,および精巣からのテストステロンの分泌の指標として使われ,女性では副腎性アンドロゲン分泌の指標として使われてきた.先天性副腎皮質過形成で副腎性アンドロゲンの著増するケースや睾丸腫瘍などでは診断的価値は大きい.
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