歴史
日本整形外科学会雑誌から—第17巻から18巻まで
天児 民和
1
1九州大学
pp.838-839
発行日 1966年11月25日
Published Date 1966/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903831
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第17巻の巻頭は最近京都府立医科大学を定年退職になつた河村謙二教授の「肋骨移植による脊椎カリエスの固定硬著手術法」という論文がある.河村教授は骨移植に関して多くの業績をあげているが恐らくこれが最初のものと思う.脊椎骨髄炎は抗生物質の発達した今日では非常に重篤な疾患とも言えないが昭和17年当時においては甚だ重篤な疾病である.特にこれを外科的に治療しようと努力したのに「脊椎骨髄炎の診断について」(西平賀健)がある。昭和17年と言えばすでに大東亜戦争から日米開戦に至つた時期であり戦傷者に関する業績がおいおい現われてきたが,特に「国立傷痍軍人福岡職業補導所における人腿切断者の切断端訓練について」(神中正一,稗田正虎)の諭文が注目すべきものと思われる.大腿切断者においては断端支持義足が歩容その他に甚だ良好なことに着目し,その訓練を行なつた結果を示したものである.人腿切断者の義足に関しては神中,稗田の論文が尚1篇発表せられている.「大腿義足のOrientation」と尚もう1つは「福岡型大腿作業義足の基本型について」である.第1次世界大戦当時Schedeの行なつた大腿切断義足のAlignmentの理論を消化し更にこれを補なつて神中,稗田のAlignment法を明らかにしたものである.
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