歴史
日本整形外科学会雑誌から—第9巻から第10巻まで
天児 民和
1
1九大
pp.391
発行日 1966年7月25日
Published Date 1966/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903775
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第9巻の最も注目すべき論文は斎藤一男教授の「スポーツと整形外科」である.斎藤教授はスポーツ医学に整形外科学の知識を導入し,殊にスポーツの障害,外傷についての詳しい調査を行なわれた.このような仕事は教授が日本体育協会と密接な関係をもっておられたことも原因であるが,各種の競技会に進んで出席し,またスポーツ選手について各種の骨格をレ線学的に測定された.そして各種の競技に起こり易い特徴のある変化を脊椎,鎖骨,上腕骨,肘関節,手,膝,足等について詳しく調査をした.これらの事項に関してはその後優れた業績がなく斎藤教授のこの業績が色々の意味においてスポーツ医学に貢献するところがある.また岩原氏は脊椎カリエスで脊髄症状を有するものにミエログラフィーを行なってその手術的所見と題して脊髄膜の癒着があることを発見している.また慶大の島田信勝教授は整形外科の助手として「関節腔内盈気法の診断及び治療的価値」を発表している,この論文は正常膝関節の空気造影像を基礎として各種の関節炎,外傷の診断を明らかにするとともに各種の疾患の関節の内圧に関しても色々示唆するところがあった.
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