Japanese
English
論述
脊髄くも膜嚢腫の拍動と髄液流―術中超音波検査による観察
Pulsation and Cerebrospinal Fluid Flow in Spinal Arachnoid Cyst : Visualization by Intraoperative Spinal Ultrasonography
杉山 誠一
1
,
細江 英夫
1
,
山本 孝敏
1
,
宮本 敬
1
,
吉田 実
1
,
清水 克時
1
Seiichi Sugiyama
1
1岐阜大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Gifu University School of Medicine
キーワード:
spinal arachnoid cyst
,
脊髄くも膜嚢腫
,
cerebrospinal fluid
,
脳脊髄液
,
ultrasonography
,
超音波検査
Keyword:
spinal arachnoid cyst
,
脊髄くも膜嚢腫
,
cerebrospinal fluid
,
脳脊髄液
,
ultrasonography
,
超音波検査
pp.217-223
発行日 2002年3月25日
Published Date 2002/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903488
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抄録:脊髄症を来した胸椎部の硬膜内くも膜嚢腫6例に対して嚢腫摘出術を実施した.術中に超音波検査を実施し,Bモードで硬膜管内部の位置関係を,カラードップラーモードで髄液流を観察した.超音波画像は心拍周期および呼吸周期とともにS-VHSビデオテープに記録し,0.04秒間隔の1コマずつの画像に分解して解析した.全例でくも膜嚢腫は脊髄の背側に位置し,心臓収縮終末期にその上端の交通孔を通じて頭側のくも膜下腔から髄液の流入が繰り返されていた.くも膜嚢腫は人工呼吸の吸気相では心拍周期と同一のリズムで拡張と縮小を繰り返しながら徐々に増大し,反対に呼気相では拡張と縮小を繰り返しながら徐々に縮小していた.くも膜嚢腫の大きさは吸気終末期に脊髄を最も圧迫するように最大となり,呼気終末期に最小となっていた.交通性くも膜嚢腫では,嚢腫による静的圧迫因子とその拍動による動的圧迫因子の両者が脊髄障害の原因となりうることが推測された.
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