シンポジウム 大きな骨欠損に対する各種治療法の利害得失
緒言
菊地 臣一
1
1福島医科大学整形外科
pp.242-243
発行日 1998年3月25日
Published Date 1998/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902383
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整形外科的治療の歩みのなかで,大きな骨欠損に対してどう対処するかという問題は,先人達がその対応に最も難渋してきた問題の1つです.近年,大きな骨欠損に対して様々な治療法が開発され,昔には考えられなかったほどの再建ができるようになりました.なかでもbone transportやマイクロサージャリーを用いた手技は,今や第一線の医療現場でどんどん行われるようになっており,この分野の治療に革命的な変化をもたらしました.嘗てなら切断を余儀なくされた症例でも,充分に機能的な四肢を再建することが可能になりました.筆者は,研修医時代に,四肢外傷の大きな骨欠損に対して,治療期間や治療の見通しのなさから切断を余儀なくされた症例があったことを昨日のことのように鮮明に覚えています.
骨欠損の問題で日常診療上,われわれが最も遭遇するのは四肢の外傷と骨軟部腫瘍です.また,古来,最も治療に難渋する疾患の一つとして先天性下腿骨偽関節症があります.これらの難問に対して,今やわれわれは様々な有効な武器を持って対処できるようになりました.現在,本邦の第一線の現場で広く用いられている大きな骨欠損に対する代表的な先端的医療技術はbone transportとマイクロサージャリーを用いた再建術であると思います.この2つの手技は全く異なった手法による再建です.しかし,目指すところは同じで,両手技とも全国の各施設でかなりの症例の蓄積がなされつつあります.
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