シンポジウム 腰椎変性すべり症の治療
緒言
菊地 臣一
1
1福島県立医科大学医学部整形外科
pp.246-247
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100650
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腰椎変性すべり症は,40歳以降の女性にとって,腰痛や重篤な下肢症状を来すという点で重要な疾患である.しかし,古来から発生機序を含めて有効な治療について論じられているが,いまだ未解決な問題が少なくない.今回,腰痛変性すべり症の治療をテーマに,誌上シンポジウムを企画した.ここでは,手術療法に焦点をあてている.その手術療法ひとつをとってみても,目次で明らかなように手術手技は多岐に渡っている.
腰椎変性すべり症の手術は,除圧,矯正,固定の3つの基本手技から構成されている.下肢症状の手術を考えた場合,除圧を実施するのには誰も異論はない.しかし,その手技に関しては,除圧は限定された範囲でよいのか,あるいは神経組織全周性の除圧が必要なのか,あるいは予防的除圧の追加は必要かなどといった問題に対して見解の一致をみていない.矯正についても必要,病期に応じて実施,あるいは必要ないと,見解は集約されていない.固定術の併用に関しても,後方固定,前方固定,あるいは全周性の固定と,術者の採用術式は様々である.これにinstrumentation併用の適否が加わると,問題は極めて複雑になる.
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